みなさん こんにちは 健康と幸福を促進する作業療法士blueskycarpです。
作業療法士は怪我や病気で難しくなった生活に必要な動作や活動の再獲得を支援します。
難しくなった生活に必要な動作、活動には対象者の生きがいや生きる意味をも含みます。
作業療法ではそれを作業と言っています。
その人にとって意味のある、意味を感じる活動、つまり作業に取り組むこと、そしてその実現を支援することが、作業療法士の役割であり、作業を取り組むことがその人の健康と幸福を促進するというのが作業療法の中核的なコンセプトです。
ではなぜ意味が大事なのでしょうか? なぜ意味が必要なのでしょうか?
この疑問に答えてくれるのが、今回共有するヴィクトール・フランクルが提唱する「意味へ意思」という考え方です。
フランクルについてはこちらの記事を参照ください。
フランクルは人間に特徴的に見られる性質として 意味というものを絶えず探し求める存在であるという見方を提示しています。
そして人間が意味を求めることは人間の生命のうちにある根源的な力である、人は意味へ向かおうとするもの、意味への意志を持つとしています。
さらに人間の主要な関心は、単に衝動や本能を満足させたり、あるいは単にイドと自我と超自我の要求の葛藤を調整したり、さらには単に社会や環境に適応したり順応したりすることにあるのではなく、むしろ意味を充たし価値を実現することであると述べています。
さらにさらに、人は探究すべき意味さえ見出すなら、あえて苦しむことも甘受し、犠牲に身を捧げ、そしてもし必要とあらば、そのために自らの命をも捧げる覚悟をするとも述べてます。
以上のようにフランクルは、人には強力に意味を求める欲求があることを述べています。
人間にとって意味とは生きる上で食べ物や水、他者の存在と同じように不可欠なものであることをフランクルは提唱します。
そしてマズローのいう生理的欲求レベルと同じように意味を求める欲求が人には備わっているようです。
日常的にも「これって意味ある?」「意味ないよね…」という言葉を耳にしたり、自分でも自然に、無意識に唱えたりしていますね。
そして意味を感じないことには、動機付けられずに、退屈や虚無感を感じるものです。
臨床では作業療法で提供、取り組むトレーニング、活動、過ごし方に対象者がどういう意味を感じているのか?を常に問う必要があると考えます。
特に怪我や病気で心身の苦痛や不自由を感じている対象者には、作業療法での取り組みが回復につながる、苦痛や不自由の軽減につながるという意味をしっかりと伝える、実感してもらえる関わりが重要であると考えています。
フランクルの提唱する意味への意思を持つ対象者に、回復や生きる意味を感じてもらえる作業療法を提供することが、健康と幸福の促進に寄与すると考えています。
参考図書
フランクル いつも意味を探求している
人間の根源的な関心