みなさん こんにちは 健康と幸福を促進する作業療法士blueskycarpです。
作業療法士は怪我や病気で難しくなった活動の再獲得を支援します。
活動の再獲得の支援には身体的なトレーニングばかりでなく、認知的なトレーニングも必要となります。
特に認知機能が低下した対象者に対しては注意や記憶機能の改善や強化を意図したトレーニングを提供します。
認知的なトレーニングとしては机上での間違い探し、計算やパズル、パソコンソフトを使った記憶トレーニングなどが代表的です。
しかしいずれの課題も認知機能、特に注意や記憶力の改善に寄与するという根拠や説明は不十分です。
一方で近年は筋トレをすることで記憶力が高まること、根拠やメカニズムの説明が報告されています。
今回は筋トレによる記憶力向上(背景となる注意機能も含む)についての知見と背景を共有し、臨床での活用について提案します。
筋トレすることで記憶力が向上することを実証した研究として代表的なのがジョージア工科大学の心理学科のリサ・ワインバーグ博士らの研究で、20分の筋トレで記憶力が10%アップすることを報告しています。
筋トレすることで記憶力が高まるメカニズムとして代表的な要因がBDNF(脳由来神経栄養因子)とテストステロンの分泌です。
BDNFは記憶や学習に重要な海馬に多く存在するタンパク質です。
さらに記憶と学習の背景となるシナプス可塑性や長期増強に必須のタンパク質とされて、ニューロンの機能の向上、成長、強化を促進するものとされています。
そしてBDNFは運動すること(やや強度の高い有酸素運動、レジスタンストレーニング)で分泌が増えることが報告されています。
筋トレで記憶力が高まるもう1つの要因であるテストステロンはいわゆる男性ホルモンの分泌です。
テストステロンは男性機能の作用や向上という機能のほかに、骨格筋の強化作用、自信や積極性に基づいた意欲の向上、記憶力の向上などの作用があるとされています。
テストステロンは20〜30代が分泌のピークとなり40歳を過ぎると急速に分泌量が低下するとされています。
40代以降の気力の低下や気分の落ち込みにも関係しているようです。
テストステロンは筋トレで分泌量が増えるとされており、記憶力の向上に寄与するとされています。
以上簡単ですが筋トレをすることで記憶力が高まることの根拠を解説しました。
現在、記憶力を改善・向上するアプローチとして科学的、生理学的に実証、説明できるものとしては筋トレが唯一であると考えています。
そして作業療法における記憶力(背景となる注意機能も含めて)を改善するアプローチの第一選択はまずは筋トレであると考え、僕自身の臨床は展開しています。
参考文献