みなさん こんにちは 健康と幸福を促進する作業療法士blueskycarpです。
対象者の健康と幸福を支援する上では、現状の生活のあり方、生活習慣を変えていくことが必要となります。
健康に害のある習慣を止める、健康のために良いとされる習慣を身につける。
これらはいずれも現状の生活、習慣を変える取り組みです。
しかし習慣を変えることは容易ではありません。過去の記事では習慣化を邪魔する要因について解説しました。
今回は邪魔する要因となる現状維持バイアスに焦点を当て、それを外すコツについて共有します。
人には現状維持バイアスという特性があります。
現状の生活、行動、習慣、意思決定と選択をそのまま維持しようとする傾向です。
人間は基本的に保守的である。過去にこだわり、新しい行動を取ることへの本能的な抵抗、拒否があるとされます。
これはマズローのいう安全欲求に基づいています。
また現状維持バイアスは損失回避という人の意思決定の傾向性も影響しています。
損失回避はすでに手にしているものを失ってしまうことを回避する傾向、何かを得る可能性よりも現状あるもの・所有するものを失う可能性に対して人は敏感になり反応するというものです。
病院や施設の場面であれば、離床することや運動、活動することを拒まれる対象者
また在宅であれば、ベッドや手すりなどの福祉用具を導入することを拒まれる対象者
いずれも現状の(安楽な)状態から動くことや環境を変えることによるストレスを引き受けることを安全欲求に基づいて回避するという共通する意思、思考があります。
ではこのような対象者の現状維持バイアスを外すには…コツは2つあります。
まずはイメージできる、イメージしやすくすることです。
人は現状を変えることで何が起きるのかをイメージできる、予測できると新しい行動を取りやすくなります。
そしてそのイメージはなるべく不快や苦痛を想起しない情報を提供することが重要です。
2つめは社会的証明の原理に基づくことです。
人はイメージしにくい、曖昧、不確実性の高い状況での意思決定を迫られた時は、他人の行動を参照、指針にします。
そしてその他人とは同じような状況にある人、類異性の高い人であることがより良い条件となります。
先にあげた対象者であれば、タブレットなどを使って別の対象者が作業療法を取り組んでいる場面を動画で見てもらう、福祉用具を取り入れて生活されているユーザーが感想を述べている動画を見てもらうといった介入が考えられます。
人は心の中で想像できると、新しい行動を起こしやすくなる
現状を変えても、自身の存在や生活を脅かすことにならない(苦痛や負担が少ない)ということを客観的に、わかりやすく提示する
現状維持バイアスで対象者の健康や幸福への支援が滞った時は、今回のコツを参照してみてください。
参考文献
![影響力の武器 実践編[第二版]:「イエス! 」を引き出す60の秘訣 影響力の武器 実践編[第二版]:「イエス! 」を引き出す60の秘訣](https://m.media-amazon.com/images/I/51sm6l2HvkL.jpg)
影響力の武器 実践編[第二版]:「イエス! 」を引き出す60の秘訣
- 作者:ノア・J・ゴールドスタイン,スティーブ・マーティン,ロバート・B・チャルディーニ
- 発売日: 2019/12/05
- メディア: 単行本