みなさん こんにちは 健康と幸福を促進する作業療法士blueskycarpです。
作業療法の臨床は意思決定の連続です。
どんなプログラムを、いつどのタイミングで、どのくらいの回数、頻度で、どこで、どのように提供するのか?
そしてそのプログラムを提供する根拠は何なのか?
いずれも対象者の状況とリハビリテーションの目的に応じて、情報の取捨選択と意思決定が求められます。
作業療法におけるプログラムの取捨選択と意思決定は、対象者の評価に基づき解剖学、運動学、生理学、神経学、心理学、エビデンス情報といった多様な情報に基づいてなされます。
一方でそこには思考の癖と呼ばれる認知バイアスが含まれる可能性があり、それによって適切な意思決定を邪魔している可能性があるということを意識しておく必要があります。
今回は適切な臨床での意思決定を邪魔するであろう代表的な思考の癖、認知バイアスをセラピストの視点で共有します。
①確証バイアス
自身が選択したプログラムを支持する都合の良い情報のみを積極的に集めて、自身のプログラムの確証度、正しさを高めてしまうバイアス。
一方で自身が選択したプログラムを支持しない情報は却下してしまう。
②現状維持バイアス
自身が選択したプログラムを漫然と続けてしまう際に生じているバイアス。
また従来の、既存のプログラムにとどまり、新しいプログラムや治療法を否定してしまう背景ともなる。
現状維持バイアスは、セラピストが現状を変えることに対するコスト、エネルギーを抑えたいという感情的な要因が働いている。
③サンクスコスト
これは実施しているプログラムや治療法に対して自身が費やした時間やお金に相応するように、そのプログラム、治療法に固執してしまうもの。
特に特殊な治療手技のみに傾倒して研鑽を積んでいる場合に陥りすいかもしれない。
④バンドワゴン効果
これは多くの人が学んでいる、支持しているからそれは正しいと判断してしまうバイアス。
また自身が所属する組織において、支持、取り入れられている特定のアプローチを選択する場合にも盲目的に生じてしまう可能性がある。
いずれのバイアスも自身の提供しているプログラムは正しい、間違っていない、認められていることを保証することを意識的、無意識的に選択した結果生じてしまうものと考えらます。
またその背景にはセラピスト自身の安全欲求、承認欲求、所属欲求といった欲求、感情に起因したメカニズムが働いていることを知っておく必要があると考えます。
臨床がうまくいって対象者の変化や治療効果が確認できている場合は、今回提示したバイアスに過度にナーバスになる必要はないと考えます。
一方でうまくいかない事例に遭遇した場合には、今回共有したバイアスの存在に基づいて、自身のプログラムのあり方を第三者の視点も加味して検証する姿勢、プログラムを変更していく柔軟性、選択肢を持っておくことが必要であると考えます。
参考文献