みなさん こんにちは 健康と幸福を促進する作業療法士blueskycarpです。
作業療法士のための行動変容を促進する動機付け面接入門⑥では、面接の最終段階である行動変容の行動を計画する段階、交渉とコミットメントの強化について解説していきます。
行動変容のための行動を計画する段階で重要となるのは、その行動に対する重要性の認識と自信の有無になります。
重要性の認識が低い場合は、現状維持の問題点やデメリット、そして変化に対するメリットについて確認、共有していきます。
特に対象者が大事にしていること、大事にしたいと思っていること、つまり価値観や生きがいと関連付けながら行動変容のための行動の重要性を確認、共有していきます。
確認、共有はあくまでオープンクエスチョンで対象者の考えを引き出す、喚起するようにします。
考えがなかなか出ない場合は、支援者の考えや一般論を伝える、情報提供する場合もあります。
支援者の考えや一般論を伝える、情報提供する場合でも「相手の許可をもらう」という手続きを経ることで対象者の自律性の尊重を図ることを大事にします。
一方で重要性の認識は高いが自信がない場合は、現在できていること、過去の成功体験から対象者の強みを探る、周囲から得られるサポートを確認、共有していきます。
また自信がない場合、多くの対象者が設定している行動の難易度や負荷が高い場合があります。
つまり現在の習慣から行動を大きく変えようとしている場合です。
大きな行動の変化、行動の難易度、負荷が高い場合、意志の力に依存するため多くは途中で挫折してしまいます。
意志の力に依存しないために小さな変化、行動から始める、難易度、負荷量を低く設定することを助言することが継続した行動変容のためには重要になります。
最後に動機付け面接の全体像についてまとめます。
対象者が行動変容に迷っている状態(両価性)に丁寧に対応し、迷っている心情、状況、そこに関連している価値観、感情を把握する。
目標行動についてフォーカス、合意した上で、今度は行動を変えることの意味や価値、メリットについて対象者から引き出していく。
行動変容にためのチェンジトークを引き出し、コミットメントにつなげていく。
作業療法士にとって動機付け面接は、対象者の価値観を大事にした自発的な行動変容を支援する上でとても有益なコミュニケーション技法であると考えています。
今回のシリーズ記事はあくまで入門として動機付け面接の大枠を掴むためのものとして活用していただき、ぜひ成書から具体的なやりとりを学習していただけると幸いです。
参考文献

動機づけ面接法 実践入門 「あらゆる医療現場で応用するために」
- 作者:ステファン・ロルニック,ウィリアム・R・ミラー,クリストファー・C・バトラー
- 発売日: 2010/05/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)