みなさん こんにちは 健康と幸福を促進する作業療法士blueskycarpです。
作業療法士は対象者の健康と幸福につながる行動変容と習慣化を支援します。
一方で健康や幸福のための行動変容に動機付けが低い対象者の支援には難しさが伴います。
対象者のことを思ってより良い行動の励行を促しますが、多くは失敗に終わります。
そんな動機付けが低い対象者へのアプローチとして動機付け面接という技法があります。
作業療法士として動機付け面接のコンセプトと面接技法を知っておくことは、対象者のポジティブな機能を引き出し自発的な行動変容を支援する可能性が拡がります。
今回からシリーズで動機付け面接について紹介、解説していきます。
1回目は面接や行動変容支援でやってしまいがちな支援者のコミュニケーションエラーについてです。
このエラーを知り、支援者としてコントロールすることが行動変容に繋がる面接、支援の出発点になります。
これは動機付け面接の入口として大事なコンセプトです。
支援者が行ってしまうコミュニケーションエラーとは対象者の言動を正そうとする言動、「正したい反射」と呼ばれるものです。
支援者は健康と幸福に繋がるであろうより良い行動を、良かれと思って提案します。
時には注意、警告、論理的説得といった正論を強い姿勢で伝える場合もあるかもしれません。
一方で対象者は「変わりたい、でも変わりたくない」「やりたい、でもやりたくない」といったアンビバレンツ(両価性)の思いを持っており、これが行動変容を難しくしている背景であるとされています。
そして人が行動変容する過程において同然経験する思いであるとされています。(行動経済学で言えば現状維持バイアス)
このアンビバレンツな思いを解消さないままの支援者からの一方的な説明や情報提供は、むしろ対象者を逆方向に動機付けることになるとされています。
これは子供の頃宿題をしようと思っていたところに、親から宿題しなさいと言われるとやる気を失うという現象を誰もが経験していることからも想像しやすいのではないでしょうか?
これは心理的抵抗と言われ、一方的な説得は「個人の自由を侵害された」「個人の自由を守ろう」とする抵抗として生じるものとされています。
動機付け面接では支援者の「行動を正したい」という思い、正したい反射を抑えることからの出発、姿勢を求めます。
対象者のアンビバレンツは思いを共有し、その中から対象者の求めている生き方や心配していることに焦点を当てながら面接を展開していきます。
動機付け面接は理論から構築された面接スタイルではなく、アルコール依存症対象者の面談技法を研究するプロセスにおいて、治療成績の良かった支援者の面談スタイルを実証的に解析して体系化されたものとされています。
次回、作業療法士のため動機付け面接②では、動機付け面接の精神について解説していきます。
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