作業療法士のためのポジティブ心理学12では困難な状況を乗り切り、よりよく生きるための能力であるレジリエンスについて取り上げます。
レジリエンスとは「逆境や困難、強いストレスに直面した時に適応する精神力と心理プロセス」「精神的な回復力」と定義されている用語です。
人生において変化や困難、危機はさけられないものであり、変化に柔軟に適応する能力がもとめられます。
レジリエンス研究の第一人者であるカレン・ライビッチは、レジリエンスは7つの能力から成り立つとしています。
①感情調整能力 ②衝撃調整能力 ③共感力 ④楽観力 ⑤原因分析能力 ⑥自己効力感 ⑦環境に働きかける能力
そしてレジリエンスを高めるためには以下にあげる方略が提唱されています。
①変化、困難によるストレスをポジティブなものとして捉える
変化、困難は持続しない限定的なもの、成長へのストレッチゾーン、成長の種であるとポジティブなものとして捉えるようにする。
②ネガティブ感情のマネジメント
変わらないものを変えようとするのではなく、自分で変えられるものにフォーカスをする。
過去と他者は変えられない、変えられるのは自身の行動のみであるという思考と振る舞いを生活の中で実践する。
②気晴らし的活動に取り組む
運動系の気晴らし(軽い筋トレ、ウォーキング、ランニング、各種スポーツ)
音楽系の気晴らし(音楽鑑賞、歌唱、楽器演奏)
呼吸系の気晴らし(瞑想)
筆記系の気晴らし(日記、ブログ、SNSへの投稿)
創作系の気晴らし(料理、編み物、陶芸、プラモデル、DIYなど)
いずれも過去や未来への思考にとらわれることなく今に集中・没頭・マインドフルに取り組める活動を生活の中取り入れ実践します。
③強みを把握し活かす
④ロールモデル、お手本を見出す
「あの人みたいになりたいという存在」を見出し、行動や思考を真似る。
⑤社会的サポートを得る
困難は決して一人で乗り越えるものではない。良好な人間関係、感謝を伝えることのできる存在との協働が不可欠である。
作業療法の場面では、対象者のレジリエンスを構成する能力はどのような状態にあるのか、そしてそれを高めるために、どんな活動を、どんな思考で、どんな環境を設定すれば、活用すれば高めていけるのかを検討し支援することで、困難を乗り越えユーダイモニアを促進できることにつながるのではないかと考えています^_^
次回作業療法士のためのポジティブ心理学13ではポスト・トラウマティック・グロースについて取り上げます。
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