上記の書籍ではVUCA時代におけるビジネスパーソンのキャリア形成について論じられています。
現代はVUCAの時代。
VUCAとは「Volatility(不安定さ)」「Uncertainty(不確実さ)」「Complexity(複雑さ)」「Ambiguity(曖昧さ)」の頭文字をからなる造語であり「あらゆるものをとりまく環境が複雑性を増し、将来の予測が困難になった状態」を意味するとされています。
このような時代において、組織に依存する形のキャリア形成はリスクが高まっており、主体的にキャリアを描き、勝ち取っていく人材である必要性とその戦略が提案されています。
医療保険領域に従事するセラピストのキャリア形成はどういうでしょうか?
セラピストのキャリア形成は自己研鑽に委ねられている場合が多い印象です。
ゼネラリストになるにしても、スペシャリストになるにしてもどういう分野を、どういう時期に勉強するかは個人の自由です。
協会の教育プログラムの受講も個人の選択に委ねられています。
一見組織ではなく、個の力でキャリア形成しているように思えます。
しかし我々の対象者は基本的に保険診療という国が支えている信用に基づいて、もしくは病院という組織の信用に基づいて来院します。
入り口の時点ではセラピスト個人の価値や信用に基づいてセラピストを選択しているわけではありません。
したがって医療保険領域のセラピストは個人として自己研鑽しなくても国や組織の信用に基づいて仕事は与えられるという構造になっています。
つまり医療保健領域で働くセラピストも組織に依存する形でキャリア形成していると言えるのではないでしょうか?
与えられた仕事、担当患者の診療だけをやっているだけではVUCAの時代を生き抜くためのキャリア形成は困難となり、いずれセラピストとして生計を立てることができないリスクが高くなります。
上記書籍では、自分のやりたいこと、できることを積極的に周りにコミットし、個人として信頼に基づて市場価値を高めることの必要性が強調されています。
そしてVUCA時代を生き抜く7つの成長条件として①学びのアジリティ②修羅場経験の幅③客観的認識力④パターン認識⑤リーダーの役割をになう内発的動機⑥リーダーに適した性格特性⑦自滅リスクを回避する力が提案されています。
特に成長のための課題と環境を自ら設定し、強みの認識とパターン認識(類推する力)に基づいて問題解決できる人材としてキャリア形成することの重要性が述べられています。
セラピストとしては日々の臨床の成果や学びを事例報告や研究としてアウトプットする、学会や研修 への参加を通じて外の世界にふれることで自身の立ち位置と課題を見つける、個人としてのアウトプットや挑戦を組織への貢献へと繋げるといった行動を、職場や組織の要請ではなく自分発で行なっていく必要があると考えます。
VUCA時代となっても選ばれる人材として研鑽を重ねていきましょう^_^