ワイピングexでは上肢の到達運動の学習を促します。
その際目標物を提示すること、つまり手を伸ばす目標(距離、方向)を定めることが重要であると考えています。
目標物を提示しない単なる上肢運動の反復は、機能的なリーチ動作の学習と獲得には十分でないと考えています。
今回は課題指向的アプローチの知見から、目標物を提示することの必要性をまとめます。
上肢の機能回復を促す方略として課題志向的アプローチを採用することは現在では当たり前のことになっています。
課題志向的アプローチを実施する上でTimmermansらのシステマチックレビューを知っておくことは有用であると考えてます。
上記の文献では課題志向的アプローチを構成する15の要素が提案されています。
その一番目はワイピングexで目標物を提示することの必要性を示していることになると考えています。
1. Functional movements: A movement involving task execution that is not directed toward a clear activities of daily living goal (eg, moving blocks from one location to another, stacking rings over a cone) (as opposed to analytical movements, which are movements without a goal, usually occurring in one single movement plane and often occurring in single joints, eg, shoulder flexion).
つまり目標のない単関節、単一面上の運動課題ではなく、目標とする活動を必要とする実際的な運動課題であることが提示されています。
上記の要素は到達運動において手をどこに持っていくかという具体的な目標があることが課題志向的アプローチの要素として必要であることが示されています。
そして上記要素はワイピングexにおいても目標物を提示して、そこに向かって到達運動を促すことが必要である根拠になると考えています。
次回ワイピングexのコツ⑤では到達運動の神経学に基づいて、目標物を提示することの必要性についてまとめます。
参考文献

行動変容を導く! 上肢機能回復アプローチ 脳卒中上肢麻痺に対する基本戦略
- 作者: 道免和久,竹林崇
- 出版社/メーカー: 医学書院
- 発売日: 2017/10/23
- メディア: 単行本
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