「作業療法士として患者さんの訴える痛みにどう対応していいのか分からない」
「作業療法士として痛みを訴える患者さんの生活をより良くしたい」
「作業療法士として痛みを理解、対応するためにどう勉強したらいいのか分からない」
臨床では痛みを訴える患者さんへの対応を求められます。
しかし僕の経験(20年以上前の学生時代と4年間の教員の経験)では作業療法士は卒前の教育課程において痛みに関する充分な教育を受けておらず、その対応は卒後の教育、自己研鑽に委ねられていると考えます。
作業療法は患者さんの健康と幸福を促進するため生活のあり方を支援します。
生活の中での痛みの有無が患者さんの健康と幸福を阻害する一要因であると考えると、作業療法士も痛みに関する知識とそれに対応する技術(少なくとも悪化させない)を研鑽する必要があると考えます。
作業療法士のための痛み学は連載形式で、痛みの理解とその対応について学べるように記事にしていきます。
今回、作業療法士のための痛み学②では侵害受容性疼痛についてに概説し、機械的刺激による痛みについて焦点をあてます。
侵害受容性疼痛の侵害刺激とは組織に傷をもたらす刺激と総称できます。
組織に傷をもたらす刺激には次のような刺激があります。
◉機械的刺激:引っ張る、圧迫、刺す、切る、叩く
◉温度刺激:火による熱刺激、氷による冷刺激
◉化学物質:酸、発痛物質
◉虚血:血管の閉塞や不活動による組織の酸素不足
したがって痛いときには、痛みセンサーである自由神経終末が引っ張られている、圧迫されてる、温度が異常になっている、周囲に発痛物質が存在する、虚血で酸素不足になっているという状況が発生していると言えます。
特に機械的刺激の理解についてはつねられている時を考えると分かりやすいです。
つねられるという状態は身体の一部分にかかる圧力が異常に高まっている状態です。
身体にかかる圧力がある一定レベルを超えると自由神経終末が発火し、身体が傷つけられるというサインを痛みとして身体が教えてくれると考えることができます。
インピンジメント症候群はまさに関節運動によって軟部組織や筋組織が骨組織に挟まれる=圧力が異常に高まっている=つねられている状態と考えることができます。
したがって対応としては組織への圧力が高まらないように関節運動を誘導したり、圧力が高まる要因となっている軟部組織、筋組織の柔軟性、伸張性を改善するアプローチをすることになります。
上記を実現するためには、解剖学、運動学の知識そして正確な触診技術に基づいた介入が必要となります。
次回作業療法士のため痛み学③では侵害受容性疼痛の中でも虚血、不活動に伴う痛みを深掘りして、その理解と対応についてまとめていきます。
参考文献

- 作者: 松原貴子,沖田実,森岡周
- 出版社/メーカー: 三輪書店
- 発売日: 2011/05/30
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