「ROM exがうまくできない」
「ROM exをしても可動域が広がらない」
「筋緊張が亢進していてうまく可動域を拡大できない」
「もっと効果的なROMexを提供したい」
今回はROM exをより効果的に実践したいセラピストを対象に記事を書いています。
ROM exのコツについてこれまで2つの記事を書いています。以下も参照ください。
ROM exのコツ③ではROM制限の要因となっている短縮、過緊張状態になっている筋肉へのアプローチを提案します。
アプローチ❶ターゲットとする筋肉を伸張する前に収縮方向に誘導する。
制限となっている筋肉は短縮もしくは過緊張状態になっています。そういった状態にある筋肉は伸張反射が亢進しており、いきなり伸張しようとすると返って緊張を高めてしまいます。
また筋肉の内圧が高まって虚血状態になっていることもあります。循環を改善し、伸張反射を誘発しないために直接筋肉を掴んで筋肉が収縮する方向に誘導します(ボバースアプローチではin to patternと表現されます)。
「誘導した範囲を戻す程度に伸張」、これを反復することで筋肉が緩みやすい状態を作っていきます。
アプローチ❷ターゲットとする筋肉を伸張する際は起始部となる身体部位をしっかり固定する。
緩みやすい状態をアプローチ❶で準備し上で、さらに筋肉を直接的に伸張していきます(ダイレクトストレッチ、筋肉のモビライゼーション)。
伸張する上で大事なのが起始部が動いていない状態を用意することです。
例えば上腕二頭筋の筋腹を直接掴んで停止部にむかって伸張する場合、起始部となる肩甲骨(関節上結節)がいっしょに引っ張られて動いてしまっては効果的に長さを引き出すことはできません。
肩甲骨を固定し起始部を安定させることでより効果的に長さを引き出すことができます。
(僕は学生さんによく固定を補助してもらいます。学生さんにも見学ではなく、治療に参加、貢献してもらうことができ、クリニカルクラークシップを実現できます。)
ROMexのコツ③はより効果的に筋肉の長さを引き出すためのポイントの解説となりました。
筋肉の生理学、解剖学に基づいたアプローチをすることでより効果的にROM exを提供することができます。
今回の記事が臨床の一助になると幸いです。