blueskycarp’s blog

作業療法士による人々の健康と幸福を促進する為のブログですm(_ _)m

ADL訓練のコツ

  作業療法士にとって対象者の生理的欲求を満たす作業として、セルフケアの遂行を改善する支援技術は必須のものです。日々の臨床ではADL訓練としてターゲット動作の反復練習を行いますが、単なる反復でうまく事例ばかりではありません。また入院期間の短縮によってより効率的な動作の学習、獲得が求められています。特に複数の動作工程、手順を要する起居・移乗、更衣、トイレ動作の練習には動作理解と学習を混乱させない工夫(無誤学習)、支援のコツが必要です。

 

今回提示するADL訓練のコツは

「ADL動作の完了工程・姿位から学習、練習を始めて徐々に開始工程・姿位に近づけていく」

という戦略です。これは逆方向連鎖化といわれる手法です。

 

片麻痺(上肢の随意性が乏しい事例)の上半身更衣(前びらき)を例に学習、練習手順を解説します。

手順①

  すでに着用している上着の非麻痺上肢の袖だけを抜き、再度袖を通す工程をまずは練習する。

 

手順②

  手順①が安定してできたら麻痺側背部に設定した衣服を背中に羽織る工程を練習して手順①につなげて練習する。

 

手順③  

  手順②が安定してできたら麻痺側上肢の肘付近に設定した衣服、袖を肩にかける工程を練習。 手順②→①とつなげて練習する。

 

手順④

  手順③が安定したら麻痺側上肢の手首付近に設定した袖を肘まで引き上げる工程を練習。その後手順③→②→①につなげて練習する。

 

手順⑤

  手順④が安定したら手部に袖を通す工程を練習。その後手順④→③→②→①をつなげて練習する。

 

  上記の流れ、つまり逆再生で動作手順の練習をしていきます。対象者にとってはできる工程、ポジティブなところから練習することができ自己効力感を高め、学習性無気力にならないで反復練習が可能です。ただ片麻痺の場合、手順②、③が難しい場合が多く、非麻痺手で麻痺側肩に衣服をかける、衣服を羽織る際に必要な麻痺臀部への重心移動、麻痺側身体を支持にした姿勢コントロールの難しさがあります。その点については動作練習をする準備として非麻痺上肢で円滑に操作する為の姿勢コントロールへのアプローチも必要であると考えて実践しています。

 

 今回提案した逆方向連鎖化については以下の書籍に詳しく具体例(動画)とともに提示されています。参照ください。

理学療法士・作業療法士のためのできる!ADL練習

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