blueskycarp’s blog

作業療法士による人々の健康と幸福を促進する為のブログですm(_ _)m

動作介助の教育

   今日はツイッターであるPTさんによる以下のようなつぶやきがありました。

 

  養成校でもあまり練習しない動作介助。私は以前、とある教員に「立ち上がりとか移乗とか、そんなんの練習をもっとやってほしい。あのまま学生が臨床にでたら腰痛セラピストが増えますよ」と言ったら、「そこまで教えている時間がない。実習とかで教えてやってくれ」との返答が。

 

 養成校も教えなくてはならない内容の増加、カリキュラムが拡大している事情もあるでしょうが、患者さんもセラピストも体を傷めず安全に動作介助、誘導を習得することは必須であると思います。ただ養成校での教育、練習(学生どうしの模擬的な練習)だけでは充分でないのも理解できます。

 

  残念ながらコルセットを巻きながら、腰を痛めながら仕事をしているセラピストが、僕の周りにもいます。僕自身も若い頃は介助が下手であったこともあり腰痛を抱えて仕事をしていることもありました(今は腰痛はないですが、四十肩、膝痛を抱えています)。この背景には卒前、卒後の動作介助教育の不足が影響していることは否めないと思います。(腰痛については心理社会的要因もあるので、介助の技術不足だけではないのですが)

 

  僕自身も卒前に充分な教育と練習を経験はしていません(20年以上むかし)。僕自身は書籍を通じての理解と実際的なところはボバースアプローチの研修を通じて人の動きの理解とハンドリングを学ぶ中で、介助技術を習得してきました。またフィルデンクライスメソッドやキネステティクスにおける動きの理解もとても役に立っています。

 

 僕の職場では新入職員研修、看護師、介護士の方々を対象とした介助指導を通じて卒後の教育、練習の場を用意しています。もちろん学生さんにも指導する場面もあります。そこで僕は以下のことを伝えるようにしています。

【プロが行う介助とは】

 ・患者の機能、能力に応じた個別的な介助を自ら考え、実践できる(マニュアルではない)

 ・患者の能力を引き出し、利用することができる

 ・患者、介助者、お互いが楽に動くことができる

 

【介助とは】

   声かけ・見守り・身体接触という3つの手段を通じて動きの方向をオリエンテーションすること。前者は言語的に、後者2つは非言語的に患者とコミュニケーションを図ること。

 

【介助における優先順位】

  ①安全性:患者、介助者お互いの身体を痛めさせない、痛めない

  ②快適性:患者、介助者お互いに苦しくない、窮屈でない、つまり楽である

  ③促通性:患者の残存能力を最大限に引き出し利用する→機能維持、機能回復の促進

  ④効率性:ほかの業務に支障のないようにはやくできる

  ①〜④の項目についてすべてを満たして介助することが最終的な介助技術の到達、獲得目標ですが、現実はそう簡単にはいきません。特に①は医療者としては当たり前の最低要件ですが、②③を実現するためには④は犠牲にしなくてはなりません。④を優先すれば①〜③の要件を満たすことが難しくなり、結果的に患者の身体を傷つけたり、自身の体も痛めることになります。なおかつ患者の持っている能力を発揮する機会を奪うことになり、結果として患者の回復や自立支援を妨害していることになります。さらに介助者の技術の向上、成長も難しくなります。したがって①〜③と④は基本的には相反する要件となります。以上のことを踏まえて、実際の介助場面では何を優先すべきかを患者の状況、介助者の状況を判断材料に考えて実践することが必要です。

 

   介助技術を発揮するための文脈も含めて、教育、学習していく必要があると考えています。

 上記の書籍は日本にキネステティクスを紹介した澤口Drによる解剖、生理学、神経学、発達学、発生学、心理学、ボディーワークなど幅広い知見に基づいた人の動きと介助を理解できる圧倒的なボリュームの書籍です。活字だけでなくDVD映像を通じて実際の介助方法(療養病棟での実践も含む)をリアルに学ぶことができます。