blueskycarp’s blog

作業療法士による人々の健康と幸福を促進する為のブログですm(_ _)m

問題解決型アプローチと解決志向型アプローチ

  作業療法は対象者が抱える生活、経験上の問題を解決・解消し、よりより生活・経験を支援する方法論、技術であると考えています。

 

  問題を解決するにあたってのアプローチは2つあるとされています。

 

  一つは問題の原因を分析、特定し、その原因を解消することで問題を解決するアプローチ=問題解決型アプローチです。作業療法の領域であればある生活行為ができない原因を、筋力や可動域などの身体要素に分解、特定し、筋力を強化する、可動域を広げるといった戦略をとるやり方です。つまり弱みに着目してその弱みをなくす、軽減することに主眼を置きます。

 

  もうひとつのアプローチは、問題の原因追求はせず、問題がない、解決した状態を想定して解決に役立つ利用可能な資源、つまり対象者のもつ既存の能力、可能性や強みに着目、活用するアプローチ=解決志向型アプローチです。このアプローチはカウンセリング領域、短期療法(ブリーフセラピー)の理論に基づくとされています。解決志向型アプローチでは、現状で変化可能、変化しやすい要素にアプローチすることで、まずは問題が生じている状況の変化を作り出すことを意図します。その中心哲学は至ってシンプルです。

・ルール1:もしうまくっているのなら、変えようとするな。

・ルール2:一度やって、うまくいったのなら、またそれをせよ

・ルール3:もしうまくいっていないのであれば、(なんでもいいから)違うことをせよ

 

 

   医学では基本的に病気や障害という問題を解決するため、ネガティヴな側面つまり異常値や弱みを抽出、着目しアプローチする戦略を取ることが多いと思います。一方で作業療法が対象とする人の生活や経験上の問題は、その原因が何か一つの現象や要因であることは稀で、複数の要因の相互作用と考えます。

 

  作業療法士は、身体ー環境ー作業という3つの視点(PEOモデル)で問題を捉え、解決していこう考えます。これは人の生活、経験の遂行(作業遂行)を身体ー環境ー作業の相互作用の結果として捉えるフレームワークです。それぞれのサブモデル、身体、環境、作業のネガティブな側面の解消、軽減のためのアプローチだけでなく、状況変化を生み出せる、もしくは生みやすいポジティブな要素の利用、強化を図ること、つまり解決志向型アプローチを採用することも、対象者の回復と社会参加を促すための大事な戦略であると考えています。

 

解決思考型アプローチを学ぶためのオススメ書籍を提示しておきます。

森・黒沢のワークショップで学ぶ解決志向ブリーフセラピー

森・黒沢のワークショップで学ぶ解決志向ブリーフセラピー

 
ブリーフセラピーの極意

ブリーフセラピーの極意

 

 最後に紹介する書籍は解決志向型アプローチの考え方をリハビリ場面に応用した内容が記載されているものです。とても読みやすく目からうろこの内容です。

PT・OTが現場ですぐに使える リハビリのコミュ力

PT・OTが現場ですぐに使える リハビリのコミュ力

 

 

 

 

 

 

 

 

前頭前野活性化ゲーム

   今朝、出勤するとスタッフが発熱のためお休みとのこと。僕の職場は365日リハを提供する回復期です。その為休んだスタッフが実施するはずだった訓練を、ほかのスタッフで代行せねばなりません。しかも、平日よりも土日、祝日の人員は少ない設定になっている為、残っているスタッフにも実施単位の余力はありません。しかも診療が始まる9:00までにスケジューリングをしなくてはなりません。若いスタッフからバトンタッチして、僕がスケジューリングします。

 

   こんな時、僕はイライラしない、イライラを見せない、そして前頭前野活性化ゲームが始まったと捉えてスケジューリングするようにしています。

 

   イライラする、つまり感情的になっているということは、辺縁系が活性化していることになります。この時スケジューリングする為の知的機能を担うべき前頭前野は、辺縁系を抑制するために資源を使うことになってしまいます。その為知的活動の効率性が低下しまうことになると考えています。

 

   こういう時のスケジューリングは高度な判断を求められます。患者さんの障害像、個人因子(急な変更を受け入れてくれる人かどうか)、他部門のスケジューリングとの兼ね合い(他部門と連続させても体力的に大丈夫か、病棟での処置の有無)、面会・外出泊の都合などなど。さまざまな要因を考慮して最適解を出す必要があります。

 

  イライラしない、いかに冷静にさまざまな要因を考慮にいれながら効率的に最適なスケジューリングするか、そのためにこの事態を前頭前野を活性化、鍛えるゲームとして捉える、よりクリエイティブな活動として捉えることにしています。スケジューリングを難しくするさまざまな要因=障壁、そして時間制限はまさにパズルゲームです。時間内にうまくスケジュールがはまった時にドーパミンが放出されるイメージを持ちながらパソコンの前に向かうのです。

 

 今日も、前頭前野活性化ゲームに勝利しました。もちろん僕だけでなく周りのスタッフの協力もあってこそ、時間内にスケジューリングを組むことができたのですが…そして本日も無事診療を終え、このブログを書いています。

 

 

 

  

 

 

 

回復期の作業療法士として参加しておきたい研修情報(西日本に偏向ぎみ)

   昨今はさまざまな研修会があるので、どんな研修に参加すべきか戸惑う若い作業療法士の方もいるかもしれません。

  僕たち回復期の作業療法士が提供するサービス、支援は実践的な技術であるので、座学による情報のインプットだけに終始せず、技術のアウトプットとブラッシュアップも含めて実践的な技術を学ぶ場への参加が必要であると考えています。

  今回は僕が受講してきた、そしてこれからも受講し、研鑽を積んでいこうと考えている研修会を紹介します。ただし僕は広島在住なので西日本に偏ったものとなります。お許しくださいm(_ _)m

 

www.knerc.or.jp

   京都にあるネルクは、作業療法士でボバースアプローチのインストラクターである小野先生が運営されているセラピストの為の教育機関です。ここでは脳損傷で心身に機能障害がある対象者への無償リハビリの提供と小野先生による実際の治療場面を通じたセラピストの教育と実践という、両者にとってwin winの関係性の中で、ネルクを利用されている対象者さんの回復と受講生の成長、両方に貢献できる場として設定されています。ボバースアプローチのインストラクターとしてのトレーニングされた小野先生の臨床推論、治療技術、治療展開、対象者さんとの関わり方、すべてをリアルに、体感的に学ぶことができます。そして学んだ技術を、実際の対象者さんを通じて確認できます。アシスタントの先生のアドバイスも含めてとても丁寧に、ポジティブにセラピストの学習をサポートしてもらえる場です。

 

www.seiai-riha.com

    福岡にある誠愛リハビリテーション病院で開催される研修会は、ネルク同様作業療法士でボバースアプローチのインストラクターによる先生方によって運営されています。特に僕にとってはボバースアプローチを学ぶ動機付けとなった作業療法士、渕雅子先生の存在が大きいです。渕先生による「高次脳機能障害の評価と治療介入」、「脳卒中片麻痺者の日常生活活動の評価と治療介入」では、作業療法士としてどう対象者さんに関わるのか、その為の環境設定や道具の使い方、提示の仕方を具体的に学ぶことができる研修です。その他インストラクターの先生も作業療法士としてボバースアプローチをどう作業療法の中で実践し、対象者さんの回復と社会参加に繋げるのかを具体的に提示してくださる場となっています。

 

www.pnf-groovy.com

  最後は理学療法士で国際PNF協会のインストラクター、勝波先生が運営される研修会です。勝波先生はPNFのインストラクター、上田法のインストラクター、マニュアルセラピーのインストラクターと3つのインストラクターとして活躍される先生です。僕は先生のもとでPNFを学ぶことができました。先生の技術に対する探求心と基礎医学に基づくセラピーの提供といった信念にとても共感しています。作業療法士としてPNFを学ぶことで、生活動作における身体の使い方、連動性をより深く理解することができます。そしてPNFは対象者さんのポジティブな側面をより活かした介入が可能になるところが魅力であると思っています。

 

  上記紹介した先生方に共通するところは、皆さん丁寧で、受講生の目線で教授してくださるところです。けっして偉そうなそぶりなく、謙虚な先生方です。そして基礎医学に基づいて自身の提供するセラピーを説明でき、高い技術を対象者さんの回復と社会参加の為に提供しながら、研鑽を続けられている先生方です。僕が目標としているセラピストです。^_^

 

セラピストの腰痛対策

  僕自身若い頃、20代の頃は腰痛を抱えて仕事をしていました。就職して3〜4年目くらいから鈍痛があったと記憶しています。当時は老健で100人くらいの入所者さんのリハ(離床のためのレク、少しの機能訓練、看護介護職の方々へのADL指導など)をやっていました。寝たきりの方を起こして移乗する介助をけっこうしていましたので、技術不足で腰に負担がかかっていたかもしれません。

 

  ただ今思うのはそれ以外のストレスが要因で腰痛になっていたと考えています。当時の僕は血気盛んであったこともあり、同じ職場のスタッフ(特に看護介護のスタッフの方々)を心の中で攻撃していることが多々ありました。決して言葉にしたり、態度や表情には出すことはしませんでしたが(出していないつもり)、「あんな関わり方はだめだ、ひどい」「俺のほうがいい関わり方をしている」「俺だったらあんな関わり方はしない」「こんな環境でOTひとりでなにができる…」「ほかのスタッフはリハビリを理解していない」など他責思考で仕事をしていました。

 

  他責思考つまり、心理社会的要因で腰痛を抱えていたと今は考えています。7〜8年目には喘息(夜間になると咳が止まらなくなる)や過呼吸(夜中に突然なる)になることもありました。他責思考は無意識に交感神経を優位にさせて、血管を収縮させることで自分の体を痛めつけていたのだと思います。

 

   その当時は作業療法士としての引き出しも少なく、看護師、介護士の方の背景や、役割、限界についての理解も不十分で、まさに信念対立の中で仕事をしていたのだと思います。

 

   幸い今は、腰痛や喘息、過呼吸はありません。セラピストとしての身体の使い方の効率化(介助技術の向上)、そして思考、視点の拡がり(マインドフルネス、レジリエンス、ストレスコーピング、信念対立解明アプローチ)で、他責思考は少なくなったことが好影響していると思います。

 

   セラピストの仕事は知的労働であり、肉体労働であり、感情労働です。ただ卒前にそれらにうまく適応するための教育は不十分ではないかとも思います。腰痛に対する理解や対処に限らず、仕事を健やかに続けるため、セラピスト自身の心身を良好に維持するための知識が不足していると思います。

 

    心身を痛めたり、病んだりしないで、心楽しく仕事をするには、自身の技術と思考の幅を広げていくことが役に立つのではないかと考えています(シングルケースですが)。

 

   心理社会的要因に基づく腰痛の理解にオススメの書籍を紹介させていただきます。

慢性疼痛の権威である北原先生が一般向けに書かれた書籍です。

 下記はすこし古いですが、参考文献が豊富で信頼度の高い内容です。

腰痛ガイドブック 根拠に基づく治療戦略(CD付)

腰痛ガイドブック 根拠に基づく治療戦略(CD付)

 

 こちらも古いですが、腰痛の心理社会的要因を理解する上で役に立ちます。

腰痛は<怒り>である CD付

腰痛は<怒り>である CD付

 

 

 

 

 

 

 

 

40超えたおっさんがあいみょんを聞く理由

  年末、紅白であいみょんを知りました。それからユーチューブであいみょんの楽曲をよく聞くようになりました。とても刺激的な歌詞の世界でありながら、メロディーやコード進行、音楽の雰囲気が40超えたおっさんにも心地よいでのす。とくに「マリーゴールド」、「生きていたんだよな」がお気に入りです。

 

  あいみょんの楽曲の背景には、彼女のお父さんが好きな浜田省吾吉田拓郎尾崎豊小沢健二の影響があると聞きました。

 

  僕は浜田省吾の大ファンなので(ファンクラブに入会しています)、とても共感を覚えます。浜田省吾はヒット曲は少ないですが、ラブソングから人生の応援ソングまで名曲揃いです。小沢健二もよく学生のころ聞いていました。最近復活しましたが、彼の1994年のアルバム「LIFE」は名盤で今でもよく聞きます(ぼくらが旅にでる理由、いちょう並木のセレナーデが特に好きです)。

ON THE ROAD 2011“The Last Weekend

ON THE ROAD 2011“The Last Weekend"

 
LIFE

LIFE

 

年齢を重ねると、聞く音楽も保守的になりますが、久々に心惹かれるアーティストに出逢いました^_^これからの活躍が楽しみです^_^ 

瞬間的シックスセンス

瞬間的シックスセンス

 

 

その人らしさとは?

  その人らしい生活、作業を実現するための作業療法をずっと探索して提供しようと試みてきました。

ただその人らしさがいまいち理解できずにいました。以下の京極先生のユーチューブ動画で、その人らしいとはどういうことか明確になった、理解が深まったと感じています。

m.youtube.com

   上記動画では、習慣の中にその人らしさが表現されることが提示されています。習慣は①時間の使い方、②反復している活動の意味付け、③遂行の内容(どんなふうにやっているのか)という視点で把握が可能とのことです。

 

  僕は回復期で作業療法を実践しています。回復期の対象者さんは病気、怪我といった心身機能の要因と入院しているという環境的な要因で病前の習慣が途切れた状態であると考えます。習慣の中にその人らしさが表現されるということであれば、途切れた習慣を回復する、再構築する支援がその人らしい生活、作業を支援する作業療法につながると考えます。

  過去、現在の習慣を上記3つの視点で捉えて、対象者さんの健康と幸福を促進する未来の習慣の再構築できる作業療法を提供できるよう、さらなる探索をすすめていきます^_^

 

作業療法士として押さえておきたいweb情報

  昨今はネット、WEB上から無料もしくは安価で作業療法士として成長し、患者に貢献するための非常に有益な情報を手にすることができる時代になりました。今回の記事では僕が特にオススメするネットコンテンツ3傑を紹介します。

 

    1傑目、まずはなんといっても吉備国際大学准教授の京極真先生によるコンテンツです。作業療法に関する圧倒的な知識、研究業績、情報発信はOT界の落合陽一といっていいのではないでしょうか^_^ツイッター、ブログ、インスタ、NOTE、ユーチューブはすべてフォローすべき内容です^_^

 

2傑目にオススメするのは、麻痺側上肢、手のリハ、作業療法の領域に実証研究に基づいてパラダイムシフトを起こした大阪府立大学准教授竹林先生によるコンテンツです。先生によるツイッター、ブログ、インスタ、NOTE、ユーチューブもフォローは必須です。研究者、臨床家、教育者としてその丁寧な言説に共感します。

 

3傑目、 最後は作業療法士として自費分野で活躍されているSTROKE LABの金子唯史先生によるコンテンツです。ネットを通じての当事者向けの情報発信(脳リハ.COM)、ユーチューブでの自主訓練動画はアプローチのヒントになる内容が盛りだくさんです。また最近始まったインスタによるライブ動画はとても上質な技術を根拠に基づいて学ぶことができます。

 

  ぜひチェックして、自身の成長と患者さんへの貢献に役立ててください^_^